古くから加工されてきた鉄鋼
「鉄鋼業」などという産業があるくらい「鉄鋼」は私たちの生活に昔から関わってきた金属素材です。
世界中にはさまざまな金属がありますが、鉄の金属生産量は世界の金属生産量のおよそ95%にものぼるのだそうです。
ではなぜ、鉄はこれほどまでに多用されるのでしょうか。それにはまず、鉄の「加工のしやすさ」という特徴があります。
古くから鉄を使いさまざまな製品を作り出してきたことからもわかる通り、鉄は熔解や圧延などの加工がしやすい金属です。
溶接によって、鉄と鉄どうしをくっつければ、非常に頑丈な加工も可能ですし、用途に応じて比較的簡単に製品を作ることができる金属素材といえるでしょう。
驚くべきことに、黒海の南に位置するアナトリア地方では、鉄素材で作られた短剣が発見されていますし、紀元前1500年頃にはヒッタイト族が鉄をハンマーでたたいて加工し、青銅よりも硬い鉄を作るという方法を生み出したということもわかっています。
鉄鋼の生産と貿易
また、鉄鋼の原料となる「鉄鉱石」は、他の金属の原料と比べて値段も安く、手に入りやすいというのも特徴です。
貿易上重要な資源のひとつでもあり、石油に次いで大量に取引されている資源となっています。
大量に仕入れた鉄鉱石で、どんどん鉄鋼を生産することができるというわけなのです。
どんどん製造された鉄製品は、リーズナブルな価格で販売されていきます。
ちなみに、日本の鉄鋼業界は、世界と比較して高い技術力があることが強みであるといわれています。
自動車向けの鋼板や、採掘に使われる電磁鋼板といった特殊な鋼材は、日本の鉄鋼メーカーの得意とする分野であり、高級鋼材として需要があります。
アルミやステンレスなどの金属製品も、高い需要はありますが、古くからグローバルな取引がされてきた鉄鋼分野では、かなりスケールの大きなビジネスが展開されていると言って間違いないでしょう。
2016年の日本の鉄鋼生産量は1億477万トンで、中国に続き第二位となっています。