アルミの特性

私たちの生活の中で「アルミ」といえば、最も身近なものは一円玉です。

白銀色に輝く一円玉は、純度100パーセントのアルミニウムで作られています。

また、一円玉だけでなく、アルミを使用した製品には、アルミ缶や自動車、鉄道などの部品、住宅の建材などなど、さまざまなものが存在しています。

一円玉は純度100パーセントのアルミニウム製ですが、世の中のアルミ製品の多くは、アルミの他にさまざまな元素を添加して作られたアルミニウム合金である場合が多いです。

アルミに元素を加えることによって、純アルミだけでは得られない特性をプラスすることができます。

機能性を付加したアルミニウムは、先端技術への活用がより行われやすくなっています。

アルミを製品に使用する際に、最もよく使われるのが「アルミ板」という板状のアルミです。

アルミ板は、アルミの特性である「軽い」「丈夫」「加工しやすい」といった点を存分に発揮できる素材の形状といえます。

 

アルミ板を使った製品

さきにあげたアルミ缶なども、もともとはアルミ板を折り曲げて加工したものとなっています。

大型のものでは、建物の内外壁にアルミ板が使用されたりすることもあります。

いずれも、軽くて丈夫、加工がしやすいというアルミ板の特性を活かした用途といえます。

アルミ缶のような小さなものはもちろんですが、建材など大きなパーツで使用される場合は、特に重さは重要です。

軽いアルミ板のパーツを使用することで、斬新なデザインの建築物の実現にも役立っています。

乗り物の部品やボディなどにもアルミ板が使用されることがありますが、軽いアルミ板を使用することによって、燃費の向上などにも役立っています。

また、アルミ板を使った製品で、もうひとつ魅力的な点として、再生しやすいという点があります。

アルミを新しく製造するには膨大なエネルギーがかかりますが、再生地金の場合は新地金を作るのに比べてたった3%のエネルギーで製造することができるのです。

私たちが日頃手にするアルミ缶も、再生地金が使われています。

 

磁気に強いアルミ

私たちの生活の中でも、実は様々な場面で使用されているアルミ。

中でも、アルミ地金を薄く伸ばしたアルミ板は、さまざまな用途で使用されています。

アルミ板が便利に使用されるのは、アルミ板にアルミならではの強みがあるからです。

軽くて丈夫、加工がしやすいといった特性は、アルミの特性としてよく知られていますが、そのほかにもアルミにはたくさんの強みがあります。

たとえば、アルミは磁気を帯びないという強みがあります。

そのため、磁場の影響を避けたい電子医療機器やメカトロニクス機器などにもアルミ板の使用が多く見受けられます。

リニアモーターカーなどの大型製品にも使用されます。

 

知られざるアルミの特性

また、毒性がない、というのもアルミの強みとして挙げられます。

身近な飲料缶などにもアルミ板が使用されているため、アルミに毒性がないことはあたりまえのように思ってしまいがちですが、金属の中には毒性のあるものもたくさんあります。

人体への影響はもちろんですが、アルミは土壌を傷めるなど、環境への負担も少ないので、人にも環境にも優しい素材といえます。

そのため、アルミ板はアルミ缶意外にも、医療薬の包装や医療機器などにも活用されます。

さらに、熱伝導率が良いというのも、アルミの大きな強みです。

アルミの熱伝導率は鉄のおよそ3倍といわれ、温まるのも冷めるのも速いという特徴があります。

日常生活の中であまり目にすることはありませんが、冷暖房装置やエンジン部品、各種熱交換器などの中にもアルミ板やアルミパーツが使用されています。

そのほかにも、知られざるアルミの強みとしては、真空特性が良いという強みもあります。

アルミはガス放出率が少ないので、アルミを使って真空装置を作ると他の素材で作った真空装置よりも早く真空状態に到達させることができます。

この場合、アルミ板よりも鋳造品がパーツとして使われることが多いですが、高真空ポンプや理化学実験装置などにもアルミはよく使用されています。